ベニヤミン族との戦い

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 レビ人の男が側女と小者を連れて旅をし、ベニヤミン族の支配するギブアに一泊した。土地のならず者たちは男を慰みものにしようと宿を取り囲む。とっさに側女を差し出して難を逃れたレビ人だが、側女は殺されてしまった。レビ人は彼女の死体を12の部分に切り分けると、イスラエルの全部族に送りつけてギブアでの出来事を伝えた。

 イスラエルの人々は怒りに燃えてギブアに殺到したが、ベニヤミン族はギブアをかばってこれを迎え撃つ。イスラエルの連合軍は多大な犠牲を出しながらついにベニヤミンを打ち破り、岩場に逃れて抵抗した一部の兵を除いてベニヤミン族はことごとく殺された。ことが終わってから、イスラエルの人々はこのことを悔やんだ。

 彼らは戦いに非協力的だったヤベシュの町を滅ぼし、まだ嫁いでいない少女たちを捕虜にして生き残ったベニヤミンの兵に妻として与えた。それでも足りないと、シロの町の祭りにやって来た若い娘たちを誘拐した。

(士師記 19〜21章)


【解説】

 聖書を読んでいると、現代人の感覚ではまったく理解できない内容が書かれていて驚かされることがある。今回紹介した記事などは、その最たるものだろう。

 旅の男が見知らぬ土地で、ならず者たちによる集団レイプの脅威にさらされる。これ自体は、ソドムの町を訪れた天の使いとロトの家族に起きた出来事(創世記19章)のバリエーションだ。ロトの家族は天の使いによって守られた。だが旅人は守る者もないまま放置され、恐怖から逃れるために自分の側女をならず者たちに渡してしまう。ありとあらゆる辱めと暴力を受けたであろう彼女は、翌朝主人の泊まる家の敷居に手をかけたまま死んでいた。虫の息ではうようにして主人のもとに戻り、戸口に手をかけたところで安心して死んでしまったのだろう。

 これだけでもかなりひどい話なのだが、このレビ人は家に帰ると彼女の死体をばらばらに切断し、12のパーツをイスラエルの12の部族に送りつける。何とも陰惨な猟奇事件だが、この後の話もそれに劣らずひどい。事件をきっかけにして絶滅寸前になったベニヤミン族の血筋を守るため、無関係な町を滅ぼして若い女を手に入れたり、祭りを見物に来た無関係な女を捕らえて、生き残ったベニヤミン族の男たちに与えたのだという。

 はっきり言って、かなり不愉快だ。「女性を何だと思っているんだ!」と思わずにはいられない。この時代の女性たちが置かれていた弱い立場を、これほど端的に物語っている聖書の記事は他にないのではなかろうか。女性たちはこの時代、男性の保護なしには生きていけず、しかもその男性たちは女性をしばしばモノとして扱った。

 しかしこうした殺伐とした記事の直後に、聖書は「ルツ記」を置いている。異邦人出身の若い未亡人ルツと義母ナオミを主人公にした、心温まる物語だ。だがその背後には、この時代のイスラエルで女性たちが置かれていた過酷で非常な世界があることを決して忘れてはならない。

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