勇者ギデオン

battle-of-gideon-against-the-midianites-1626(1)

 イスラエルがミディアン人のたび重なる襲撃に苦しめられていた頃、神の使いがギデオンを召し出した。彼は父の所有するバアル神殿を打ち壊したことから、エルバアルとも呼ばれる。

 ミディアン人たちの大軍が攻めてくると彼は羊の毛を使って神意を確認し、集まった3万2千の兵の中からたった300人だけを選び出した。これを3つの小隊に分け、全員に角笛と水がめに隠した松明を持たせる。そして夜になると闇に紛れて敵陣に接近し、水がめを割って松明をかざし、角笛を吹き、ときの声を上げた。闇の中から突然敵が現れたことで、ミディアン軍は浮き足だって逃走した。

 この戦いの際、エフライムの人々は自分たちが戦いに加われなかったことで不満を言った。またコストやベヌエルの町はギデオンへの協力を拒んだが、戦いの後にギデオンからその報いを受けることになった。追撃の末に敵の王たちは捕らえられて処刑され、戦いはギデオンたちの勝利に終わった。

(士師記 6〜8章)


【解説】

 ホテルに宿泊すると、ベッドサイドテーブルの引き出しに聖書が入っていることがある。これはホテルが購入した備品ではなく、「国際ギデオン協会」というプロテスタント系のキリスト教団体が無償で配布しているものだ。ギデオン協会の名前は、今回紹介した勇者ギデオンの名にちなんでいる。この団体はホテル以外にも、病院、刑務所、軍隊、警察、学校、医療施設などに、聖書を配布している。

 ギデオンが育ったのは偶像崇拝の激しい町で、彼の父ヨアシュも異教の神殿を築いて礼拝を捧げていた。その破壊を神に命じられたギデオンは、父や町の人たちに見つからぬよう、夜中にこっそり神殿を壊したという。だがギデオンの行為がばれるのに、そう時間はかからない。この時「犯人を殺せ!」といきり立つ町の人たちからギデオンをかばったのは、神殿の持ち主だった父ヨアシュだ。彼は「バアルが本当の神なら、バアル自身がギデオンと争うだろう」と言って息子を守った。

 聖書の面白さはこういう部分にある。後世に英雄豪傑と言われる人も、最初は普通の人だった。普通の人のように臆病で、普通の人と同じように暴力の痛みや死を恐れ、敵から逃げ隠れしようとした。ギデオンは当初ミディアン人に見つからないよう酒ぶねに隠した麦を打っていたし、神の命じる言葉に確信が持てず、羊の毛を使って2度にわたって奇跡を求めたりもしている。ギデオンはこの時、まだ何者でもないごく普通の若者だった。ギデオンの物語は、無名で無力な若者が何者かになろうと必死にもがく青春物語なのだ。

 無名の若者は戦いの中で勇者として人々の尊敬を受け、増長するようになる。敵の壊滅まで安心できずギデオンへの協力を渋った町は、後に彼から手ひどい意趣返しを受ける。ギデオンは本当に神の祝福を得ていたのだろうか? 神の召命を受けて敵を追い払ったギデオンだったが、多くの妻との間に70人もいたという子供たちの末路は悲惨だった。

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