モーセ

Moses

 ヨセフの死から数百年。数を増やしたイスラエル人は、奴隷として苦しい生活を送っていた。モーセはファラオの虐殺命令を逃れてナイル川に流され、拾い上げた王女によって王族の一員として育てられる。彼は成長して自らの出自を知ると、同胞を虐待するエジプト人を打ち殺してミディアンの地へと逃れ、その地の娘と結婚した。

 ある日、羊を追っていたモーセは聖なる山で神の声を聞いた。「ファラオのもとへ行き、わたしの民をエジプトから救い出せ!」。モーセは兄のアロンと共に王宮を訪ね、イスラエルの民を解放するよう交渉した。ファラオが拒むので、神はエジプトに次々災いを起こした。最後にエジプト中の初子がことごとく打たれたとき、ファラオはついにモーセの出立を認めた。

 イスラエル人たちはモーセに率いられてエジプトを脱出した。神は海を分けてイスラエルの人々を通したが、後を追うエジプト人たちは戻った水に飲まれてことごとく溺れ死んだ。

(出エジプト記 1〜14章)


【解説】

 映画『十戒』(1956)や『エクソダス:神と王』(2014)で知られるモーセの物語だ。彼はエジプトで奴隷となっていたイスラエルの民を解放し、神がアブラハムの子孫に与えると約束した土地カナンへと導いた英雄だ。

 アダムとエバの物語はもちろん、アブラハムからイサク、ヤコブ、ヨセフに至る族長物語は、民族の起源について語る神話的な物語であり、個々の人物の史実性はかなり薄いと思われる。モデルになった人物がいたかどうかすら疑わしいのだ。しかしモーセ以降の物語については、そこに物語のモデルとなった何らかの歴史的事実があったと考える歴史学者が多い。エジプト脱出の時期については、紀元前13世紀のラムセス2世(BC1314?〜BC1224?)の時代とする説が有力らしい。

 旧約聖書の最初の5つの文書(創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記)は「モーセ五書」と呼ばれ、かつてはモーセ自身が書いたものだと考えられていた。しかし現在はモーセよりずっと後の時代に、複数の資料を編集してまとめたものだとされている。

 モーセの物語は重要なエピソードが多いため、「ななよみ聖書」では5回に分けて紹介することにする。今回紹介するのは、『十戒』や『エクソダス:神と王』でもクライマックスとなる海が割れる奇跡の部分までだ。

 この間のエピソードとしてはエジプトを襲った「十の災い」も重要だし、エジプト中の初子(人間や動物から最初に生まれた子供)がことごとく殺される中、イスラエルだけがそれを免れたという「過ぎ越し」もとても重要だが、それらを取り上げるとさらに2〜3回分の記事が増えてしまうので割愛した。

 エジプトを逃れた人々の目の前で海が割れる奇跡がこの物語のクライマックスだが、その場所はシナイ半島西岸の、現在はスエズ運河になっている部分のどこかだとされている。しかしこれをシナイ半島東岸のアカバ湾だとする説にも説得力がある。

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