ヨセフ

Joseph

 ヤコブが愛妻ラケルとの間に生まれたヨセフを溺愛した結果、彼は兄たちから妬まれるようになる。兄たちはヨセフを捕らえて穴に閉じ込め、奴隷としてエジプトに売られることになった。

 ヨセフはエジプト宮廷の侍従長宅で働いていたが、身に覚えのない罪で牢に入れられてしまった。牢内で他の囚人たちの夢を説き明かしたヨセフは、数年後にファラオの夢を解くため牢から出される。ファラオの夢は、来たるべき大豊作とその後の大飢饉を予告するものだった。ヨセフの堂々とした態度に感服したファラオは、彼を宰相に任命して自分の全権を委ねた。

 やがて世界を大飢饉が襲った。エジプトにはヨセフの指示で蓄えてある食料があったため、近隣の国々からも多くの人たちが食料を買いに来た。ヨセフの兄たちも、父の命令でエジプトにやって来た。ヨセフは正体を隠して彼らを屋敷に招待する。翌年には正体を明かして、イスラエルの一族すべてをエジプトに呼び寄せた。

(創世記 36〜47章)


【解説】

 ヤコブ(イスラエル)から生まれた12人の兄弟たちは、その後のイスラエル諸部族のルーツになった。ヤコブの息子は、生まれた順に以下の通りだ。

  1. ルベン(母はレア、ルベン族の祖)
  2. シメオン(母はレア、シメオン族の祖)
  3. レビ(母はレア、レビ族の祖)
  4. ユダ(母はレア、ユダ族の祖)
  5. ダン(母はビルハ、ダン族の祖)
  6. ナフタリ(母はビルハ、ナフタリ族の祖)
  7. ガド(母はジルパ、ガド族の祖)
  8. アシェル(母はジルパ、アシェル族の祖)
  9. イサカル(母はレア、イサカル族の祖)
  10. ゼブルン(母はレア、ゼブルン族の祖)
  11. ヨセフ(母はラケル、エフライム族とマナセ族の祖)
  12. ベニヤミン(母はラケル、ベニヤミン族の祖)

※ ビルハはラケルの奴隷。ジルパはレアの奴隷。

 不思議なのは、ヨセフから「ヨセフ族」が生まれなかったことだ。そのかわりヨセフの息子エフライムとマナセが、それぞれの部族の祖となっている。

 結果、ヤコブの息子たちから生まれたのは全部で13部族だ。この中でレビ族は領地を持たない祭司職として、イスラエルの中で特別な地位を占めることになった。そのため残る12部族が、俗に「イスラエル12部族」と呼ばれることになる。

 アブラハム、イサク、ヤコブと違い、神はヨセフには直接語りかけることがなかった。ヨセフの神に対する信仰は揺るぎないものだが、彼自身は自分の身に起きる出来事の意味について、神から直接説明されることがなかった。彼は「神は自分に何を求めているのか?」といつでも自分自身に問いかけながら、波瀾万丈の人生を歩んでいくことになる。

 神と人間が直接語り合う神話的な世界観は、ヨセフの時代になって大きく姿を変える。ヨセフ物語は、聖書が語る最初の「人間の歴史」なのだ。これ以降、人間は黙して語ることがない神の意図を忖度しながら信仰生活を送ることが多くなる。ただし神は人間の前に沈黙してしまったわけではない。やがてモーセが現れ、再び神と語り合うようになる。

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